
京都の堀川高校探究学科群の前期入試の英語長文は、「論理的読解力」と「抽象語彙への対応力」が求められる全国トップレベルの内容です。毎年、大問2と大問3の2題が出題されます。
2024年度は【大問2】が約900語でテーマは「完璧主義と失敗の受容」、【大問3】が約1600語で「高校生のボランティア体験」が題材となっています。「抽象テーマ×超長文×設問バリエーション」にいかに立ち向かうか、解説をまとめます。
この記事の目次
【大問2】完璧主義と失敗の向き合い方
<単語解説>
本文に登場したJACET8000 LV2以上の重要語をピックアップします。
>>JACET8000の単語については、詳細はコチラをご参照ください。
堀川高校の長文問題は語注が多く、LV2以上の単語はほとんど意味が記載されています。ですが、それで安心して語注に頼り切っていてはまず、時間内に解くことができません。本文に複数回登場する重要語はぜひとも覚えておきたいところです。
| No | 単語 | 意味 | 品詞 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | perfect | 完璧な | 形容詞 | |
| 2 | try | 試みる 努力する | 動詞 | ・try not to ~しないように努力する ・not try 試みない |
| 3 | mistake | 間違い | 名詞 | |
| 4 | failure | 失敗 | 名詞 | |
| 5 | relationship | 関係 | 名詞 | |
| 6 | hide | 隠す | 動詞 | |
| 7 | experience | 経験する | 動詞 | |
| 8 | learn | 学ぶ | 動詞 | |
| 9 | clear | 明確な | 形容詞 | |
| 10 | measure | 測る | 動詞 | |
| 11 | progress | 進歩 | 名詞 | |
| 12 | share | 共有する | 動詞 |
※いずれも本文内で複数回登場する重要単語です。
<トピックの解説>
テーマは「完璧主義や失敗の受容」。失敗を避けたい気持ち・間違いを恐れる心理とどう向き合うか、完璧主義のメリット・デメリット、失敗を前向きに成長につなげる“心のあり方”が解説されています。心理学的視点から「失敗を認めること=努力や挑戦の第一歩」と強調されています。
<解答のポイント>
(1)
解答ポイント:
完璧主義者が「失敗やミスをしたら完璧ではない」と考え、難しいことを避ける心理を理解する。
””があるので、会話文になっていることに注目し、「自分(I)が失敗やミスをしたら完璧ではない」と言い換える。
本文参照箇所:
Perfectionists often think that they cannot be perfect if they make mistakes or fail.
解答例:
(if ) I make mistakes or fail, I cannot be perfect.
「(もし)間違いを犯したり、失敗したら、完ぺきではなくなる」
(2)
解答ポイント:
「完璧主義者は間違いや失敗を悪いこととみなす。」
「みんな間違いや失敗を経験するが、悪いことではない。」
完璧主義者の考え方とそれに対比するeveryoneの関係に気づく。
本文箇所:
Perfectionists often see mistakes and failure as bad things, and because of this, they try to *hide them. However, it is important for us to accept that everyone experiences mistakes and failure and that this is not a bad thing at all.
解答例:
A 間違いや失敗を経験し、それは悪いことではない
B 間違いや失敗を悪いこととみなす
(3)
解答ポイント:
This can help you stop believing this wrong idea, " ③ "
このような間違った考え方とあるので、""の中には、間違った理解の内容がはいる。
本文箇所:
it is important to make your goals clear to understand what you need to reach them or to learn from your mistakes. This can help you stop believing this wrong idea
解答:
「イ You cannot make mistakes to reach your goals」が正答。
(4)
解答ポイント:
完璧(perfect)とゴール(the goal)、必要性(necessary)の関係性を考える。
「完璧であることがゴールではない、それ(完璧であること)は、必要でさえない。」という文意にする。
つまり、両方否定形。
本文箇所:
You remember that your friend got 87 points on the last test and got a top score. This means that you can get a top score with some mistakes.
解答:
エ ④is not, ⑤is not
(5)
解答ポイント:
全て比較になっているので、比較の対象を考える
一つ目の⑥:to be better than your ⑥comparing yourself with ⑥
二つ目の⑥:comparing yourself with ⑥
3つ目の⑥:being better than ⑥
比較しているのは、今の自分自身で、それよりもよく(better)なることが重要
解答:
present self(今の自分自身)
(6)
解答ポイント:
「成長を図るのでは簡単ではない。」という文章と、⑦の後に「音楽の先生」や「野球部のチームメンバー」に聞くといい、という例示から、「あなたの進歩をはかれる信頼できる人を見つける」ことが重要、と考えられる。
本文箇所:
Of course, it is often not easy to measure your growth.
If you want to play the piano better, your music teacher may be a good judge. If you are a baseball club member, you may be able to ask other team members how your ability has improved.
解答:
ウ 「あなたがどれくらい進歩したかを測ることのできる信頼できる人を見つけてください」
(7)
解答ポイント:
「目標に対するあなたの進歩に基づいて、あなたの実績(performance)を測る」
「自分の成長(progress)を測ってくれる人が重要」
本文箇所:
The next step is to *measure your performance *based on your *progress *toward the goal.
Having a good judge nearby will help you keep making progress each day.
解答:
ウ 「私は毎日やったことを記録しつづけ、時々、自分がどれくらい成長したかを知るために、数カ月前や何年も前に書いたページを読んだ」
エ 「私の姉は上手なサッカー選手なので、私はいつも姉に自分のサッカーの試合を見に来るように頼んでいる。家に帰ると試合について、そしてもっと上手にプレーするために何ができるかを話すのを楽しんでいる」
【大問3】高校生のボランティア活動ブログ
<単語解説>
JACET LV2以上の重要英単語ピックアップです。
| No | 単語 | 意味 | 品詞 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | idea | 考え、アイディア | 名詞 | |
| 2 | collect | 集める | 動詞 | |
| 3 | experience | 経験 | 名詞 | 同じスペルで、名詞・動詞になりえる |
| 4 | project | 計画、プロジェクト | 名詞 | |
| 5 | clothes | 衣服 | 名詞 | |
| 6 | concert | 演奏会、コンサート | 名詞 | |
| 7 | presentation | 発表 | 名詞 | |
| 8 | volunteer | ボランティア | 名詞 |
<トピックの解説>
登場人物がボランティア活動に参加し、協働の大変さや喜び、成長する過程を描いています。実体験(ブログ風)内で苦労と達成、他者との関わり・社会貢献といったリアリティの高い描写が随所に。「行動することで得られる学びや視野の広がり」が主題です。
<解答のポイント>
(1)
解答ポイント:
「ボランティアグループを作った」
「アドバイスをいただけるとうれしい」
という文章から、ボランティア活動をするのが初めて、という解答になる
be new to~ ~するのが初めて
本文箇所:
I have made a volunteer group ........
we will be happy if you give us any advice for our project.
解答:
we are new to volunteer work
(2)
解答ポイント:
やり取りを少し読み進める必要があります。
12月15日にTamが、「学外の人からの服も受け付けていますか?」と聞き、
Keiが「学校外の人からの服は受け付けていない」と答えています。
本文箇所:
Tam: Hello. I am not a student, but I want to help you. Do you accept clothes from people who are not in your school? I wanted to go to your concert!
Kei: Thanks, Tam! We are sorry, but we don't accept clothes from people outside of our school at the moment.
解答:
エ 「学校外の人々は、寄付したいと思った服を、今のところ直接箱に入れることは許されていない」
are not allowed to~ ~することを許されていない(=don't accept)
(3)
解答ポイント:
「Finally(ついに)、コンサートを許可してくれた」とあるので、それまでに何度か話し合いがあったことがわかります。
本文箇所:
We gave a presentation about our plan three times to our teachers and talked a lot about it with them. Finally, they allowed us to hold a concert!
解答:
ア 「ケイと他のプロジェクトメンバーは、先生たちと議論を行い、コンサートを開くことを許された」
(4)
解答のポイント:
フィリピンで働くことに決めた理由を考えます。
始めの方(11月5日)に、「フィリピンで働く中谷氏の講演を聞く機会があり、日本から高校生でもできることがあると、彼が教えてくれた」という説明があります。
本文箇所:
In September, we had a chance to hear a presentation by Mr. Nakatani. He works in the Philippines to support poor people there. His volunteer group collects clothes, pens, and notebooks in Japan and gives them to children in the Philippines. After he introduced his work, he told us that there are a lot of things that even high school students can do from Japan.
解答:
エ 「中谷氏と会う機会があったから」
(5)
解答のポイント:
ブログのタイトルなので、その日に書かれていることを確認します。
本文箇所:
All of these problems are very difficult to solve, but maybe our volunteer group can do something for children in Africa, too.
解答:
ア 「アフリカを助けること」
(6)
解答のポイント:
NO PLACE TO GO(行き場所がない)という文と、「それらは捨てられてゴミの山になっている」という文章に注目します。
「それらは行き場所がない、なぜならあまりにも多くのそれら(=衣服)が送られているから」
解答:
(they) have no place to go, because too many of them are sent to (Africa)
(7)
解答のポイント:
ガーナで仕事を失った友達の話です。
「最初はデザイナーとしての仕事をしていたが、寄付された服が安く売られるようになったことで仕事を失った。しかし、まだあきらめていない、」という文意にします。
解答:
エ 「少し前、私はデザイナーとして働いていて、伝統的なアフリカの布を使って服を作っていた」
↓
オ 「そのあと、世界中から寄付されたたくさんの服が、より安い価格で市場で販売され始めた」
↓
ウ 「もちろん、人々はそれらを買うことを選び、ほとんどだれも私の服を買わなかった」
↓
ア 「このため、私は新し服を作るためのお金を得ることができず、仕事を失った」
↓
イ 「しかし、私は自分が作ってきた服を誇りに思っているので、デザイナーとしての仕事をあきらめたくはない」
(8)
解答のポイント:
Paula(ポーラ)が初めて出てきた人ではなく、書き込みがあったことを思い出します。
「日本にも貧し人はいるのに、なぜ他の国の人を助けるのか?」と書き込んでいます。
本文箇所:
(12月28日)
but why do you want to help people in other countries when there are still a lot of poor people in Japan? I feel that young people only look for volunteer work in other countries and never care about the people in their country.
解答:
ウ 「彼らは、自分の周りの人のことを忘れるべきではない」
(9)
解答のポイント:
A
11月8日「私たちは受付に箱を置くことにした」
11月15日「私たちは約1週間前に古着を寄付するように頼んだが、あまり集まっていない」
↓
11月15日の1週間前に、箱をおいて寄付の依頼をしたことがわかります。
B
12月15日「先週私たちはランチタイムコンサートを開催した」
C
12月28日「私たちが送った服が数日前にフィリピンの子どもたちに届いたことを知ってうれしかった」
本文箇所:
A (11月8日)
We decided to put a box in the reception and asked all the students in our school to bring their clothes and put them in the box
(11月15日)
We asked all students to donate their old clothes about a week ago, but we haven't collected many.
B (12月15日)
We also had a lunch-time concert last week.
C(12月28日)
I was glad to learn that the clothes that we sent reached the children in the Philippines a few days ago.
解答:
A イ(11月10日)
B オ(12月10日)
C カ(12月25日)
<まとめ>
長文の語数がとにかく多い(約900語・約1600語)ので、確実な読解力と速読力が求められます。本文要旨や設問の意図を素早く把握し、段落ごとにポイントや論理展開を整理する力が重要です。普段の学習では、長文問題に慣れるため英文読解を繰り返すほか、設問先読み・段落要約・本文中キーワード書き出しなど実践的なトレーニングを積んでください。時間配分の練習も不可欠です。




